INTRODUCTION学生紹介

STUDENT INTRODUCTION

海運ロジスティクス専攻

野田 武杜 NODA TAKETO

専攻分野:情報システム工学

指導教員:近藤 逸人

メンター:福田 巌、榧野 純

野田 武杜

自分で書いたプログラム通りロボットが動く。
それを見るのが好き、面白い

2024.01.10

水中で動く自律型ロボットで、海の中の建造物を自動点検

船乗りになりたいと思い東京海洋大学に入学したのですが、学部3年のゼミ配属の際に現在所属している近藤研究室の、水中ロボットの研究に出会いました。それがとても面白く、もっと研究を続けたくて大学院に進学しました。

開発しているのは、水中で動く自律型ロボットです。人間が操縦するのではなく、ロボットがセンサーの情報から自分で判断して動きます。さらに、橋脚や防波堤など海の中の構造物を自動で点検できる機能の実装も目指しています。

日本は海に囲まれていて、たくさんの建造物に囲まれています。防波堤のブロックは、長い年月をかけて位置がずれきます。そこで動かないように固定されているかを定期的にチェックしなくてはいけません。また、橋脚にも傷がついていないかを調べる必要があります。

これまではダイバーが潜って調査していましたが、島国であることから点検しなくてはいけないところが多すぎて人手が不足しているという問題があります。さらに、高度経済成長期に作ったものが劣化してきているという面でも点検が必要。どんどん点検し修理のプランを立てなければいけません。その点検の行程を自動でできれば、ダイバーの安全確保や作業時間の確保という問題が減り、もっと頻繁に点検できるようになります。

ここ10年の間に、人間が手動で操縦する点検のロボットは出てきているのですが、私が目指すのは、自動で動いて点検する技術の確立です。

実用化が見えてきた水中ロボット、今はAIの組み込みを模索中

si_photo_noda02.jpg水中ロボットは積んであるセンサーの情報をもとに動きを決定するのですが、その情報が間違っていたり抜けていたりすることもあります。そういった不具合があってもロボットが正常に動くよう、データを処理するシステムをロボットに組み込まなければいけません。実験では、年に約3回ロボットを海で動かしてデータを集めて解析し、それを使って作成したフィルターをロボットに組み込んでレベルを上げていきます。

私は去年からこの研究を始めたのですが、ロボットを作るのがとにかく大変でした。実験では、自分たちでどういうシステムにするかを考えなければいけません。これが正解という答えがないので、試行錯誤の連続です。トライアンドエラーを繰り返しても、最期にはちゃんと動くものを完成させなければ実験ができません。作るときは苦労しましたが、海で動いた時はとてもやりがいを感じましたし、達成感も得られました。

現在は、ロボットに使う技術の一つとして、AIをどのように組み込むかを検証している段階です。卓越大学院プログラムの授業で知識を蓄え、AIをどこにどういう風にあてはめられるかを試しています。
今はロボットのソフトウェアを作る部分に重点を置いている段階。実用化に近づいていると感じています。

知識が"蓄えられている実感"、卓越大学院プログラムの授業

実験の前や忙しい時期は学校に泊まり込むこともありますが、そうでない場合は10時頃登校して卓越大学院プログラムの授業を受け、授業以外の時間は研究室でプログラムを書き、ロボットのメンテナンスをして20時くらいに帰宅します。

卓越大学院プログラムの授業は週に3~4コマ。AIに関する授業がメインです。自分が関心を持っていることもあり、どれも非常に面白いですね。しっかりカリキュラムが組まれていますし、授業の内容も充実していると感じます。

授業は先生の話を聞くというより演習型式。先生が用意した、AIを使った学習のためのデータを使います。動かすプログラムのテンプレートはありますが、自分で創意工夫してプログラムを書いてもOK。それを授業で発表します。自分で試せる環境があるので、しっかり自分の中に知識が蓄えられている実感があります。授業で作ったプログラムをロボットに入れたらどうなるのだろうと試してみることもあるんですよ。

また、卓越大学院プログラムにはメンター制度がある点も魅力です。普通はわからないことは自分の指導教員に聞きに行くのですが、それとは別に技術メンターがいます。AIに関する自分の研究と近い研究をしている先生とコンタクトが取れるようになっていて、質問できるシステムです。私はまだ利用していないのですが、今後メンターの先生の助言を仰ぐことになると思います。先生と直接やりとりできるのはとてもありがたいですね。

将来もロボットを研究し、日常生活にもっと普及させられれば

この実験の魅力は、プログラムを書くとロボットが動く様子が見られるところ。それがとても面白くて好きです。将来のことはまだはっきり決めていませんが、ロボット関連の研究職に就ければと思っています。それはもしかしたら、水中に限らず陸上のロボットになるかもしれませんが、動くものを作りたいです。試行錯誤しながらいろいろなことを勉強し続けます。