INTRODUCTION学生紹介

STUDENT INTRODUCTION

海洋管理政策学専攻

樋渡 倫太郎 HIWATASHI RINTARO

専攻分野:海洋利用管理学

指導教員:北門 利英

メンター:関口 良行、横田 賢史

樋渡 倫太郎

インターンシップでもらった数々のアドバイスが有益な糧に。博士課程まで学び、将来も研究を続けたい

2024.01.10

AIで最適な漁獲量を計算し、漁業を適切に管理

私は強化学習を用いた漁業の管理を研究しています。
業界全体で、漁業を適切に管理することで魚を取りすぎたり、逆に厳しく制限をかけすぎたりしないよう管理しようという研究がされています。しかし、どれくらいが取りすぎでどのくらいがそうでないのかというのは、人の目分量や感覚でした。そこにAIを組み込むことで最適な値を考えようという研究です。

si_photo_hiwatashi02.jpg実は、もともと漁業に興味があったわけではなく、使っている技術や数学の分野に興味があって今の研究室に入りました。研究室で漁業を扱っていた関係で、「こういった技術を使って研究をやりたい」という希望の対象に漁業が当てはまったかたちです。

この研究は漁業の収穫の数字を決めるという、政策の決定に関わる内容です。現在の漁業では、慣習的にこうなっていたという理由や、試しにこれをあてはめたらうまくいったから今もそれを使っているという状況で漁獲量を決めています。そこにAIを通すことで、根拠を探ったり、より良い数値を見つけたりできるところが面白いです。

最適な数値の発見にはたくさんの計算が必要です。人の手で試すとなかなかちょうどいい数値が見つけられませんが、AIを通すことでより多くのパターンを試せます。効率的により良いやり方を見つけられるので、AIを使って研究を進めることは有益だと感じています。

漁業の管理の分野では、その年たくさん取れるように、あるいは経済的な価値が一番大きくなるようにというゴールを目指して漁を行っていました。しかし、最近は環境の変動で急に魚が取れなくなることがあります。単にたくさん魚を取る、たくさん儲けるだけでなく、できるだけ安定した漁獲量を達成するやり方があるはずです。また、この研究は生態系を守ることにもつながります。研究を通し、そういったことにも取り組みたいという思いが芽生えています。

独学で学んだAIを体系立てて勉強できる卓越大学院プログラム

学部の卒論でAIを使った管理の研究をしようと考えていたことと、大学院に進学したいという思い、さらに卓越大学院プログラムではいろいろな支援があるということから、プログラムへの参加を決めました。

特に魅力的だったのがAI学習のプログラムです。AIに関しては、これまで独学で勉強していたので、体系的に学びたいと考えていたため、卓越大学院プログラムは理想的でした。
実際に授業を受けてみて、独学では見過ごしていた基礎的な部分での見落としに気づけましたし、自分に足りない技術や自分の研究に役立つ部分を俯瞰的な見方で捉えられるようになっています。授業によって形式は異なりますが、基礎的な技術を一から体系立てて学べたり、オムニバス形式で演習をやってみたりと、全ての授業がとても面白く役に立ちます。

講師は技術の最先端にいる研究者の方々。第一線で、どのような技術をどういう風に使っているのかを知ることができます。自分の研究領域を超えた、分子生物学や工学といった分野の話を聞けるのも面白いです。

インターンシップでもらった数々の有益なアドバイス

si_photo_hiwatashi03.jpg卓越大学院プログラムにはインターンシップ制度もあり、私は3カ所のインターンシップに行かせていただきました。大学の雰囲気とは違うAIの使われ方や、社会でどのようにAIが生かされているのかを体験できた、非常によい機会でした。

インターンシップで出会った社員の皆さんの多くが、博士課程まで学ばれた方々。私も博士課程に進みたいと考えていたので、博士課程ではどのようなことをしたのかという話や、学生時代にどのような論文を読んでいたのかを教えていただけました。また、博士課程まで行かれた方のその後の進路について、具体的なアドバイスをいただけたことも大きな収穫です。インターンシップでいただいたアドバイスが、今とても役立っています。

将来は、専門分野でAIを生かし活躍できる人材になりたいです。目指すはAIも水産業もさらに深く学び、社会実装できる専門家となり、研究を続けていきたいですね。