INTRODUCTION学生紹介
STUDENT INTRODUCTION
海洋管理政策学専攻
岸本 将光 KISHIMOTO MASAMITSU
専攻分野:海洋政策学
指導教員:若松 美保子
メンター:吴 連慧、北門 利英

海洋の経済活動を解き明かしたい
AI・機械学習を用いて、海洋の経済活動を定量的に解き明かす
学部時代は、商業捕鯨がどのような条件で存立しているかを定性的な観点で研究していました。その時に鯨類資源を守るための禁漁区の設置がされていることを知ったのですが、私は特にそのような海洋空間のエリアマネジメントに関心を持ちました。禁漁区や海洋保護区のような一定区画の漁業活動を制限する政策の影響を最もダイレクトに受けるのは漁を営む漁業者です。私はそのような漁業者の経済活動の変化に興味を持ち、大学院ではさらに定量的な分析をしようと思いました。
今は漁船の位置情報を利用して漁業活動を明らかにする研究をしようと考えています。海上には海洋保護区以外にも制限される場所が複数あり、洋上風力発電所周辺などがそれにあたります。そういった制限区域が設定されることで、漁船の漁業活動にはどのような影響があるのかを社会経済的な側面から調査します。これまでは影響を調査するのが難しかったのですが、近年漁船のGPSを利用した研究や技術が進んでいるので、その情報を利用して分析する予定です。そして機械学習やAIの技術を、漁業活動を分析するために使用したいのです。
この研究の面白いところは、やっている人があまりいないこと。漁業経済分野の研究において機械学習を使うのはまだ新しく、最近になってようやく試みられるようになっています。また、Global Fishing Watch という非営利団体が海上の様子を可視化できるマップを作製しています。今まで誰も分からなかったことがビッグデータとともに明るみに出ている段階なので、新しい発見もありそうです。そういう意味でも今の研究は面白みを感じています。
機械学習は自分にとってチャレンジだが、やってみると面白い
卓越大学院プログラムへ参加したきっかけは、指導教員や友人からの薦めでした。大学院では定量的な研究をしたいと考えていたこともあり、機械学習を学べる卓越大学院プログラムへの参加を決めました。進路について色々な人に相談してよかったと思っています。
卓越大学院プログラムでは、機械学習やデータ分析に関する授業を2年間で30単位ほど受講します。今は機械学習の主な手法を上から順に学び、その中でどれが自分の研究に使えるかを見極めているところです。
機械学習について学ぶのは初めて。学部では経済学で使う基礎的な数学は学んでいましたが、機械学習のような高度な数学は素養がありませんでした。そのため、卓越大学院プログラムに参加することは自分にとってはチャレンジでしたが、勉強していく中で、何でも一瞬で計算できてしまう機械学習の面白さもわかってきました。今は機械学習の全体像が見えてきたので、「この手法を使いたいから、この方法が必要だ」と学ぶ内容を絞れるようになりました。
卓越大学院プログラムはいろいろな学びの機会を提供してくれる
卓越大学院プログラムの授業は難しいです。今までなじみがなかったことを学ぶ体力が大切なのだと痛感しています。しかし、同じ授業を取っているクラスメートと勉強を教え合い、また励まし合いながら取り組んでいます。おかげでモチベーションを維持できています。これからも、他の学生との交流を大切にしたいですね。今後のイベントなど、学生が集まる機会に期待しています。
一方で、海洋関連の企業や研究機関とのマッチングイベントやインターンシップの案内もあります。さらには英語の授業もあって、ネイティブの先生から実践的なコミュニケーションを学んでいます。卓越大学院プログラムは学生へのフォローが幅広く手厚いです。それはとてもありがたいですね。
研究に熱中してしまうからこそ、プライベートとは切り分ける
登校する日は、朝9時に家を出て、10時から研究室で研究を始めます。オンラインで昼から授業を受け、終わったら研究に戻ります。19時頃終わりにするときもあれば、深夜まで研究を続ける日や、土日に登校し研究する日もあります。
ただ、研究をするのは研究室にいるときだけと決めています。というのも、研究に関することを調べ始めるときりがなく、「あともう少し調べたら自分が知りたいことがわかるのでは」と延々と調べ続けて眠れなくなってしまう性格だからです。
研究以外のプライベートでは、ランニングをして体を動かしたり、料理を楽しんだりしています。
他の産業に比べると、AIの導入領域が未開の漁業。漁業とAIを組み合わせた研究を足がかりに、将来はAIで水産業に解決策を提示していきたいです。