INTRODUCTION学生紹介
STUDENT INTRODUCTION
海洋生命資源科学専攻
伊藤 維胤 ITO YUIKAZU
専攻分野:生物資源学
指導教員:藤原 義弘
メンター:宮本 隆典、横田 賢史

AIのアルゴリズムを理解させる授業に感銘、
将来は数学と生物学のエキスパートに
深海魚の耳石から、深海の生物の生態系を解明する手がかりを掴みたい
私はソコボウズという深海魚の耳石を調べる研究をしています。魚の頭の中には炭酸カルシウムでできた耳石という石があり、耳石を調べると回遊履歴や年齢がわかります。私の研究の主なテーマは、耳石から魚の年齢を調べること。耳石を2つに割ると年輪のようなリングがあり、成長にしたがって層が積み重なります。リングは1本1年だと言われているのですが、本当にそうなのか、1本が何年に相当するのかを調べたいです。
深海に住んでいる魚の生態はほとんど解明されていません。ただ、知られていないだけで、深海の生態系に重要な役割を果たしている可能性があります。深海魚の耳石を調べることで、深海でどういう生態系が成立しているのか、それがなくなると人間にどういうネガティブな影響があるかまで繋がって判明するのではないでしょうか。そこから、私たちの生活に役立つ情報が得られるかもしれません。
耳石の画像をAIで解析するのが目標
顕微鏡で撮影した耳石の画像を自動で認識させたいと考え、AIを学ぼうと卓越大学院プログラムに参加しました。
私はもともと数学に興味があったのですが、海洋大には数学を扱っている研究室がそれほどありません。けれど卓越大学院プログラムでなら、数学に寄せた勉強ができると思ったのも大きなきっかけのひとつです。
学部時代から独学で統計学を学んでいて、統計学に関するWebサイトを自分で作るほど熱を入れて勉強しています。ですから、卓越大学院プログラムの授業にはとても期待していました。
卓越大学院プログラムの授業理念に共感
実際に授業が始まってみて感じたのが、卓越大学院プログラムの授業のレベルと、学生のモチベーションの高さです。授業の水準は高いですが、分かりやすいのでとても勉強になります。
印象に残っている授業は、人工知能と機械学習について。機械学習のモデルがどのように成立しているかを数式で証明し数学的に裏付ける授業でした。
人工知能は現在とても身近かつ、簡単に使おうと思えば使えるようになっています。例えばインターネット上で公開されているプログラムをほんの数行打ち込むだけで、機械学習が実装できてしまうパッケージがあるのです。機械学習のアルゴリズムを全く知らなくても使えてしまえます。けれど私はこれを問題だと感じていました。人工知能を使って解決したい課題には、それぞれ違った問題があり、それに対応しているアルゴリズムがあります。アルゴリズムを理解していれば、問題に応じたアルゴリズムを使い分けられます。しかしアルゴリズムを一つしか知らず中身を理解していないと、「これで全部使える」と考えてしまう。けれどそれでは、異なるタスクに対応できません。
数式の中身まで解説してくれる授業は、私にはとても価値がありますし、授業の理念にも共感しています。
ほかにも、ニューラルネットワークのアルゴリズムを、数式を使って一から作るという授業も面白かったです。卓越大学院プログラムは、面白くて役に立つ授業ばかり。プログラムで学んだことを自分の研究に応用できるまで、基礎的な学力を高めていきたいです。また、AIを使えるようになるだけでなく、社会に還元するところまで持っていけるような知識やスキルを習得したいです。
英語を学び、海外の大学院の博士課程も視野に入れたい
卓越大学院プログラムにはさまざまなサポートがあります。その中で特に興味があるのが英語研修です。というのも、博士課程に進学するとき、もしかしたら海外の大学の研究室を選択したいと考えるかもしれません。その時は英語が必須です。自分の選択肢を広げるという意味でも、英語に力を入れていきたいです。
今は生物の研究をしていますが、数学にも興味があります。生物と数学の二足の草鞋を履いている状態ですが、両方のエキスパートとして研究を続けていきたいです。