INTRODUCTION学生紹介

STUDENT INTRODUCTION

海運ロジスティクス専攻

岩瀬 一馬 IWASE KAZUMA

専攻分野:流通システム工学

指導教員:竹縄 知之

メンター:田上 悠太、吉岡 諭

岩瀬 一馬

一般の予報より精度の高い“ピンポイント天気予報”を研究、広く世間で利用してもらえれば

2024.01.10

グリッドでなく点で気象予報をすることで、予報の精度を高める

気象とAIを組み合わせ、予報性の向上をさせる研究をしています。気象は25×25や20×20の格子に対して予測をします。けれどその四角い地形の中でも高低差をはじめとした変化があり、格子での予報はそういった変化には対応できません。ですから、天気予報が当たりやすいエリアと外れがちなエリアが出てしまいます。

それをなんとか改善できないかと考え、地点ごとにピンポイントで予測をしてみようと思いつきました。

地球全体の地点ごとに気象庁が発表しているデータを用い、AIを使ってデータを変換し補完するという方法で研究しています。

大学院では仕組みがわかる気象庁のデータを使用して研究

si_photo_iwase02.jpg学部時代も同じ研究をしていましたが、その頃は予報サービスの数値を使いAIにかけて予測していました。けれど予報サービスが発表する数値は、どういう仕組みで出した数値なのかがわからないという問題がありました。大学院および卓越大学院プログラムでは、数字を出す仕組みが発表されている気象庁のデータを使用して予測しています。

プログラミングは学部の1年生の時から学び、AIは授業と独学で勉強しました。学部でAIの授業を受けた際、AIで解決できることが多いことを知り、その有用性に気づいてもっと勉強をしたいと思いました。その先に今の研究や私自身の興味があります。

この研究は他の気象予報サービスと比較すると、いい結果が出ています。高い精度で予測できているので、社会に還元できるのではないでしょうか。ニュースやWeb上の天気予報などで使われるようになって、広く一般の人たちが予報を知ってもらえればと思っています。

日本気象協会でのインターンを通し、「気象の視点で考える」ことに気づいた

卓越大学院プログラムに参加して良かったと思うことの一つが、インターンです。私は日本気象協会に6月から8月までの3カ月間、インターンに行かせていただきました。

昨年、卓越大学院プログラムの学生勉強会で研究を発表した際、日本気象協会の方と話をする機会があり、その時からインターンに行ければと考えていましたので、希望が叶いました。

インターンでは海洋風の解像度を高める研究をし、30キロ×30キロのデータではなく、5キロ四方のデータでの表現を実現するというプロジェクトに参加しました。

インターンを通して、たくさんの学びがありました。例えば、私はAIの知識に偏っていてAIを軸に考えてしまいますが、気象の専門家は気象を軸に物事を考えます。それを見て、自分にも気象の視点が必要だと感じましたし、もっと気象の勉強が必要だと実感しました。知識をつけるために、インターン後は論文をたくさん読むようになりましたね。全ての論文に気象の知識が含まれていますので、とても勉強になるんです。気象業界では当たり前の知識をインプットし、理解を深めています。

また、実務を通し、気象庁のデータがある場所や、どのように使えばいいかも教えていただきました。それらの知識は、自分の研究に役立っています。

海外で気象を研究する機会を得た、デンマークへの留学

si_photo_iwase03.jpg卓越大学院プログラムに参加して良かったもう一つのことが、留学です。卓越大学院プログラムとデンマークの大学が連携していて、その大学に気象や海洋を専門に研究している教授がいることから、僕の研究とちょうど合致すると応募したところ、2024年1月から3月まで留学できることになりました。

デンマークの大学では、今の研究を継続しつつ、ヨーロッパ基準のデータで研究をしたいと考えています。今はデンマークの大学の教授が書いた論文を読んで勉強しています。

前々から留学したいと思っていたことと、将来、英語を使用して海外で仕事をしたいと思っていたこともあり、英語は以前から頑張って勉強してきました。10年後は、海外で気象の研究を続けているのが夢です。

午前と夜間に研究し、午後は休憩するスタイルが集中できる

私の研究はプログラミングが主体です。自宅が大学から遠いこともあり、授業がなく登校する必要がない日は自宅で研究しています。朝9時から13時まで研究して、長めの休憩を取って18時から再開し22時までと、2回に分けています。ちょっと変わったタイムスケジュールですが、これが一番集中できるんです。休憩時間は、オーディオブックを聞くことが多いですね。最近好きなのは歴史小説。オーディオブックでリフレッシュして夜からの研究に取り組んでいます。