NEWS / TOPICSニュース&トピックス

  • HOME
  • NEWS / TOPICS
  • NEWS
  • ノルウェー科学技術大学(NTNU) インターンシップ終了報告(応用環境システム学専攻 五十嵐)

ノルウェー科学技術大学(NTNU)インターンシップ終了報告(応用環境システム学専攻 五十嵐)

NEWS2026.05.21

 2026/1/4-2025/3/21の約3か月間、NTNU(ノルウェー科学技術大学)のIBABiological department)で研究インターンシップに参加しました。研究テーマはノルウェーのサーモン養殖において深刻な影響を与えるサケジラミ(Salmon lice)のモニタリング手法開発です。IBALars Christian Gansel先生、Snorre Bakke先生のご指導の下、共同で研究に取り組みました。養殖サーモンの販売量はノルウェーが世界の半分以上を占めており、日本の食とも大いにかかわっています。ノルウェー政府も養殖業を重要産業として位置づけていますが、開放型生け簀での高密度飼育はサケ科の寄生虫であるサケジラミの感染爆発のリスクがあります。野生のサケ科魚や海流による他生け簀への感染リスクを考慮すると、感染前、サケジラミが低密度な段階で定量的にモニタリングする手法が求められます。

 このようなモニタリング手法開発は、私の研究分野である画像識別・物体検出モデルの漁業応用と非常に相性が良く、インターンシップ開始前より物体検出モデルを利用した海水映像からサケジラミを直接検出するアプローチについて両教授と議論しました。これにより現地到着後すぐに研究題目を決定できたため、スムーズに実務作業に入ることができたと思います。

 サケジラミの映像検出そのものに対する研究は、NTNUの連続した研究プロジェクトとして先行研究が存在しており、大いに参考になりました。私はこの一連のモニタリングシステムの流れを汲む、他プランクトン・有機懸濁物・泡ノイズなどの検出妨害要素のリスク判定に焦点を置きました。

3か月間で、データセットアノテーション、複数モデルによる比較評価、オープンボキャブラリ機能の有無による性能比較、複数評価者の目視によるオーバーレイ画像の定性評価など複数の作業と実験を進めました。これにより分類の困難なオブジェクトを含む学習モデルが現場実装に耐えうるか検証しました。最終的にはインターンシップ期間内に一本の研究としてまとめる目処が付いたと思います。現在、ジャーナル投稿を視野に両教授と引き続き議論を進めているところです。日本での研究と並行して進める予定です。

 PhD課程は自身で決めた研究題目に沿って、資料収集・交渉・実験・執筆などの複数のタスクを並行して進めながら、論文という明確な成果が求められる場所です。その点において3か月という限られた期間で、ノルウェーの教授と学生が対等な研究者として議論できる環境で、研究の組み立てや実務に携われたことは今後の研究活動において大いに参考になりました。

画像1.jpg画像2.jpgのサムネイル画像画像3.jpgのサムネイル画像

 IBAの方々や現地のPhDの方々との交流も、異なる背景や視座に触れる良い機会となりました。特にPhDのグループの方々は多国籍なグループで、英語が第一言語ではない国の方も多くいます。英語は背景が異なるメンバーにとって、文字通り共通語として扱われ、生活に根差した言語としてそれを使うことは私にとっても新鮮でした。滞在期間中はPhDの方々とCabin Tripに行ったり、彼らのセミナー等にも参加した他、個人ではオスロやトロムソといった都市に旅行に行ったりもしました。フィヨルドやアールヌーヴォー様式の建築、オーロラ、美術など、現地でしか経験できないことも多いので、本インターンでは研究経験のみならず、非常に濃密な時間を過ごせました。ノルウェーの方々は皆親切で、研究・生活の両方の場で非常にお世話になりました。海外での研究に挑戦したいという方にはお勧めします。

 最後に、プログラム参加にあたり、渡航や宿泊などの各種手続きについて強力にサポートしてくださったMETISプログラムの平野様、福島様を始めとする皆様と卓越大学院プログラムの木野先生を始めとする皆様、現地での研究をご指導いただいたSnorre先生、Lars先生に感謝申し上げます。

画像6.jpg画像5.jpg画像4.jpgのサムネイル画像

応用環境システム学専攻D1 五十嵐新之介