ACTIVITY活動報告
【アーカイブ】2021年度第1回海洋AI公開セミナー
(動画・資料)
11月29日(月)に、海洋AIコンソーシアムの連携機関の方々とともに海洋分野へのAIの活用事例を学び今後の研究やビジネスに活かすことを目的として第1回海洋AI公開セミナーを開催しました。今回は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、会場をオンラインで繋ぐ遠隔方式とし、講演者を含め162名の参加がありました。
基調講演:日本郵船グループ 「自律航行技術の開発と社会実装」
安藤 英幸 氏(株式会社MTI)
前半では、認知科学者D. Normanの著作を引用し人と機械の協調が鍵であること、E. Hutchinsの分散認知の研究「チーム航行のテクノロジー」において、大型船の操船が、チーム作業を技術が支援する好例としてCSCW分野で取り上げられてきたこと、また、Expert-in-the-Loopをコアコンセプトとする日本郵船グループにおけるAIビッグデータの取り組みを紹介した。AIのような技術を活用するためにはビジネスやオペレーションドメインへの深い理解と、人、プロセス、技術、組織の総合的なデザインが必要なことを示した。
桑原 悟 氏(株式会社日本海洋科学)
日本郵船グループにおいて、船舶の運航における安全・効率性の向上と労働負荷の低減を目的に自律航行技術の開発と社会実装への取り組みを、現場のオペレーションに熟知する船長・航海士がリードする形で舶用メーカーの技術者との連携により進めていること。具体的な事例として、国交省や日本財団のプロジェクトに取り組んできたこと。今後、社会実装が進む自律航行技術として、コンピュータビジョン、VR、着岸支援、衝突リスク表示と言った具体例を示した。
講演:「私が愛用しているツールたち- python, jupyter-lab, nbdev, poetry, fastai, pycaret, prophet, streamlit, gurobi, mypulp, miro, etc. -」
久保 幹雄(東京海洋大学教授)
データに基づいて実際問題を迅速に解決するためには、モダンなITツールを使いこなす必要がある。本講演では、私が愛用しているアナリティクスのためのツールを紹介。主に紹介するツールは、開発環境整備、機械(深層)学習、Webアプリ開発、数理最適化に関するものであるが、オンラインで研究指導や講義・演習をするために便利なツールも紹介した。
講演:「沿岸生態系の観測および予測技術の進化と今後の展望~沿岸生態系分野のDX~」
永尾 謙太郎(いであ株式会社)
我々は漁業をはじめ、レジャーや観光など幅広い産業において沿岸生態系の恩恵をうけて生活をしている。近年、生物が激減するなど沿岸生態系の持続可能な利用が課題となっている。生態系の回復に向けて重要な視点は生物データの取得であるが、従来の手法はコスト面から連続的なデータの取得が難しい。本講演では環境DNAや水中スキャナー、人工衛星、など最新の調査技術とAIや数値シミュレーションに代表されるデジタル技術を併せて活用することで、沿岸生態系の現状把握と将来予測を可能とする展望を紹介した。最後にカーボンニュートラルに向けた動きと沿岸生態系を回復させる動きをうまく連動させることが重要であることを示した。
講演資料.pdf ※権利等の関係で一部のページを削除しています。
動画 ※権利等の関係で一部の箇所にマスキングを施しています。