REPORT留学生リポート
国際協働教育プログラム(IJP)
IJP 体験記1(カセサート大学 R7.1-R7.5)
2025.06.24
海洋科学技術研究科食機能保全科学専攻 修士2年 N. A.
【留学のきっかけ】
学部生時代、フードバンクでのインターンシップにおいて多くの外国人、海外在住経験のある方と関わったこと、国際交流サークルで様々な国の留学生と関わり刺激を受けたことから、ずっと留学に行きたいと考えていました。海外で過ごした人はより広い視野を持っていると感じたこと、優秀な留学生と多く関わる中で他国の大学の教育に興味を持ったこと、異国の地で自分がマイノリティとなる経験をしたいこと、様々な意見を持つ学生と対等にディスカッション出来るようになりたいこと、そして単純に異文化交流に楽しさを見出したことが留学に行きたいと思った主な理由です。大学院入学後のOqeanous Plusの説明会で、留学経験者の方に「学生のうちに留学をするか、社会人になってから海外で働くか迷っている」と尋ねたところ「両方やればいい!」という力強い返答を頂いたことが後押しとなり、留学を決意しました。
【留学準備】
留学準備は指導教員探しと履修計画、そして英語力の向上を行いました。指導教員探しは海洋大での指導教員の先生に相談したところ、タイのカセサート大学に知り合いの先生がいることが判明し、そこで受け入れていただけることが決まりました。履修計画は、カセサート大学の場合、基本はタイ語での授業なので選べる授業が限られていました。よって、自分が学びたい分野、内容を指導教員の先生に伝えて英語で学べる授業を組んでいただきました。学部によっても授業のスタイルは違うようなので、指導教員の先生と相談するのが一番かと思います。語学力の向上では、普段の研究生活で論文をなるべく英語原文のまま読む、授業やゼミ発表の機会で英語を積極的に使うようにする等、研究で使う英語の専門用語のストックを増やすように努めました。
【留学先での授業、研究、研究室での活動】
研究は、バクテリオファージの分離と宿主範囲の決定を行いました。海洋大での研究テーマと異なりましたが、先行研究を読み研究室のメンバーに質問しながらプロジェクトを進めていきました。サンプリングではなるべく汚い下水を集めるべくバンコク中の用水路を巡るなど、楽しみながら実験をしていました。基本的に平日の9-18時は研究室で過ごし、実験計画立てから結果のまとめの他、自分のプロジェクト以外の実験もさせてもらい、充実した毎日を過ごせました。
授業は2つ受けました。1つ目はInternational courseの学部3年生とのHACCP関連の授業、2つ目はBiotechnology学科の博士、修士とのゼミです。授業では毎回、講義を受けてグループでプレゼンをする、という形式でした。現地の学生はスライドを作るのが速く、プレゼンも上手く学ぶことが多かったです。オンラインでインドとフランスの学生とHACCPプランを作る回もあり面白かったです。テストは習った知識を直接問うのではなく知識を基に応用する問題が多かったです。ゼミでは、自分の修論、博論の進捗をプレゼンするという内容でしたが、私はタイでの研究テーマに関連する論文紹介をしました。他の学生のテーマはバイオマス等で自分の専門分野とかけ離れていたので理解が難しかったですが、回を追うごとに少しずつ内容を理解し新しい学問分野を知ることが出来ました。
【留学先の生活】
寮は2人部屋を一人で使っていたので、非常に広く快適でした。食事は朝から晩まで主に大学の学食や寮周辺の屋台で食べました。辛い食べ物が好きだったこともあり、日々タイ人の友達に教えてもらい新しいタイ料理を開拓していました。大学では学食以外にも曜日限定でマーケットが開かれており、色んな食べ物を安く楽しめる最高の食環境でした。
【文化の違い】
日本よりも失敗に寛容だと感じました。研究で失敗した時に、私はすぐに落ち込んでしまうタイプだったのですが、タイの研究室仲間は「マイペンライ(なんくるないさ、的な意味)失敗はしょうがないから前を向いてやり直そう」とポジティブに捉えてくれました。おかげで新しい研究テーマに対しても過度に失敗を恐れずに取り組むことが出来ました。
【困難だったことと楽しかったこと】
当初は友達作りに苦戦しました。日中ほとんどを研究室で過ごすこともあり、研究室外の友達がなかなか出来ませんでした。しかし、屋台で声をかけてもらえたり、寮の共有スペースで食事をしたりするうちに、次第に友達が増え年齢性別国籍関係なく交友関係を築けました。タイ人はもちろんのこと、中東やヨーロッパ出身の友達から全く異なる文化、価値観を教えてもらえたことで、カルチャーショックを受けるとともに、自分の考え方は良くも悪くも日本の文化に大きな影響を受けていることを実感しました。
【後輩学生に伝えたいこと】
Oqeanous Plusでの留学は卒論や就活との兼ね合いが難しく、中々行く決意が固められないかもしれません。しかし、私は就活の時期をずらしてでも留学に来たことで将来海外に駐在して働きたい、という思いが明確になり、前向きに進路を検討できるようになりました。また、研究を行う留学では授業よりも一層深く現地の先生、学生と関わることが出来、異国の研究室での研究は新たな発見をもたらしてくれます。コーディネーターの方々は非常に手厚くサポートをして下さるので、忙しい大学院生活の中でも留学を実現しやすいプログラムだと思います。後悔することはないので、ぜひ挑戦してみてください!
図1 研究室で実験している様子 図2:サンプリングの様子。バンコク各所の運河から汚水を採取していました。
図3:広い大学内での移動手段はTalaiというバス以外に 図4:学食で好きだったメニュー(クイッティヤオナムトックムー:
電動バイクやスクーター等充実していました 豚肉の血のスープ麺)タイバジルなどを添えていただきます。
図5:イミグレーションでのビザ延長の様子。 図6:大学内でのランニング大会の様子。:
タイのイミグレーションシステムは複雑で難解なので ランニングが趣味で、各地でマラソン大会に参加していました。
注意が必要です。 この大会には国王のお妃も参加していました。
朝5時から並んでも手続きが終わるのは昼2時でした。
図7:大学の文化祭Kaset fair。大学の広い敷地いっぱいに 図8:仏教の祝日はお寺でタンブン(徳積み)をしました。
屋台が並び9日間にわたる大規模なお祭りです。 タイでは日本よりも仏教の文化の影響を日常生活の節々で感じます
タイ人は日本人より行事ごとに本気で、毎週のように
何かしらのイベントが開かれていました。
図9:大学の夜の学食の様子。常に色んな種類の屋台が軒を 図10:研究室の窓から見たPM2.5。特に1月末頃は大気汚染が
連ねて見ているだけで楽しいです。 ひどかったです。
屋外なので蚊にさされますが美味しいです。 呼吸器系に疾患がある人は注意が必要です。