REPORT留学生リポート

ショートタームプログラム(STP)

STP体験記(上海海洋大学 R6.7-8)

2025.03.06

大学院 海洋管理政策学専攻 修士1年 K.M.

私が応募した理由は、ひとえに海外に行ってみたかったからです。高校生のころは「大学に入ったら海外に行ってみたい」という希望を持っていましたが、コロナという災難もあって、ついに学部卒業まで機会に恵まれませんでした。そのまま院生になりましたが、今回偶然友人が紹介してくれて本プログラムを知りすぐ応募しました。

はじめは漠然とした海外に対する憧れを持っていただけで、中国に特別な思い入れがあったわけではありませんでした。しかし、飛行機が上海浦東空港付近に到達し、上空から長江に浮かぶ船々を見てにわかに「中国に来られて幸運だ」という気分になりました。日本にいる限りでは長江のような大きな河川を見ることがなかったので、その景観の壮大さに感動し、もうこれだけで帰ってもいいなという満足感がありました。

到着翌日から登校した上海海洋大学では、水産・海洋に関する授業を幅広く受講させていただきました。どれも興味深い内容だったのですが、とくに面白かったのは上海海大の関連施設であるKaitai Fish Farmの見学です。鯉やチョウザメ、カエルなどがここで養殖されていました。中国では食用淡水魚がよく食用として消費されるためその養殖が重要です。Kaitai Fish FarmはそれらのSTP2024_1.jpg環境を研究するための施設として機能しているとのことでした。果樹園もあり、ここで私たちは桃狩りなどをさせてもらいました。食用ザリガニ釣りもさせてもらったのですが、中国他外国の学生たちが生きたザリガニを手掴みできない様子で、これが私にとって驚きでした。私が「日本の小学校では教室でペットとしてザリガニを飼ってたよ」と教えてあげたときは皆不思議そうで、少し愉悦を覚えました。同じアジア圏でも各国レベルで生き物に対する感覚が結構違うらしく、生き物好きの私にとってはこのような気付きも新鮮でした。

このプログラムの間、一緒に参加した各国学生の彼らと会話するのが非常に楽しかったです。母語も学問分野も様々ですが、グループワークに取り組む中で彼らの優秀さが伺えました。とくに、現地の中国学生と話す中でひときわ印象的だったことは、中国社会の上海海洋大学とその学生に対する期待感の大きさが感じられたことでした。実際、上海海洋大学構内の設備は充実しており、新たに建設中の建物がいくつもありました。また構内のあらゆる箇所に学生を奮励する標語があり、学生もまた期待に応えるべく勉強しているように見えました。滞在したホテルで同室だった上海海洋大学1年生の黄さんは毎夜色々なこと説明してくれたのですが、あるとき中国の新しい方針である「From made in China to created in China」という言葉を教えてくれました。これは「これまでは製造業が主要な産業だった中国が、今後は創造性を発揮して、新たな産業領域で世界をリードしよう」という意識に基づいたもので、大学にはその大儀があるのだそうです。学部1年生にも根底にそのような意識があることを知りとても感心しました。このような経験に接して、学生や大学のあり方について中国に学ぶべきことは多いと感じました。

また何にもまして、上海海洋大学の学食が安くて美味しいのは最高でした。名前はわかりませんが、鶏肉が入った辛い鍋のような食べ物は忘れられません。充実した食事のため活力が湧き、滞在中は終始元気でした。さらに驚いたことは、そのような学食が構内に5つもあるということでした。今後、上海海洋大学に訪問の機会がある方はぜひ堪能してほしいです。

お別れの際、我々日本のメンバーは早朝の出発だったのですが各国学生がお見送りをしてくれました。皆さん別れを惜しんでくれて、私自身とても名残惜しかったです。同時に、この数日間を通して国の違う皆さんとの絆が生まれたことを実感し、改めて参加してよかったと思いました。

以上のような得難い体験をすることができたのは、コーディネーターの方々はじめ、親切にしてくれた現地学生、我々が見えないところで運営してくださった方々のおかげです。本プログラムを通して私自身視野が広がり、成長できたと思います。謹んで感謝申し上げます。

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