REPORT留学生リポート

国際協働教育プログラム(IJP)

OQEANOUS Plus-IJP体験記(KU R4.11-R5.3)

2023.04.20

海洋科学技術研究科海洋資源環境学専攻 修士2年 N. S.
  私は、2022年11月28日~2023年3月10日の3か月半、タイのカセサート大学 (KU) へ留学しました。この体験記が、海外留学を考えている、タイに興味がある学生の参考になると嬉しいです。

「なぜタイへ留学したのですか?」
多くの方に留学前、留学中、留学後に聞かれた質問です。2点ございます。
  1つ目は、フィールドです。タイは東南アジアに位置しており、サンゴ礁が多く存在します。海洋大は、東京湾に位置しており、自分の研究対象のクラゲのフィールドも東京湾でした。クラゲも好きで楽しいのですが、ずっとサンゴ礁保全に関わる研究をしてみたいと考えていました。海洋大で叶えるのは不可能ではありませんが、できることも限られています。この機会に、タイなら研究できるかもしれない!と思い、KUの指導教員の先生へ相談したところ、「一緒にやってみよう」と協力して頂けたので、タイのカセサート大学に決めました。
  2つ目は、東南アジアへ留学してみたかったからです。IJPプログラムの中には、渡航先の選択肢として、中国と韓国、そして、今回からタイ、インドネシア、マレーシアが新しく加わりました。私は、過去に海外探検隊で、香港とアイルランドへ留学したことがあり、行ったことがない地域に挑戦したいと考え、タイにしました。

「タイの生活はどのような感じですか?」
  こちらの質問も周りの方からよく気になると言われるので、テーマ別に紹介します。

【食文化】
  もちろん、タイ料理です。スパイシーで、エビやイカなど、海鮮を使ったものが豊富です。タイ米も美味しく、麺も種類が豊富です。KUの学食は充実しており、屋台も沢山出ているため、毎食楽しみで仕方がなかったです。そして、安価で手に入れることができます。160円あればお腹いっぱい美味しいものが食べられる世界です。また、辛い物が多いイメージですが、甘いものもたくさん存在します。ドリンクを注文する際には、必ず甘さ控えめで注文していました。

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写真1) 上2枚ともKU内の学食。 左はチャータイというお茶と、カオパと呼ばれる炒飯。 右は、種類豊富なドリンク屋さん。

【言語】
  もちろん、タイ語です。しかし、タイ語は発音にバラエティーがあり、日本人にとっては大変難しいので、私は英語で生活していました。しかし、予想以上にタイ語しか通じない国です。街中の看板、メニューはタイ語しか書いていない所が多く、翻訳アプリを使ったり、写真を見せて、ハンドジェスチャ―と気持ちで乗り切らなければならない場面も多く、苦労しました。しかし、大学の友人や先生が助けてくださったおかげで、楽しく刺激的な毎日を送ることができました。タイ人は英語話者が少ないですが、それ以上に親切で世話好きな方が多く、困ったら助けてもらえるので、安心して留学できると思います。

【暮らし】
  私は、KUの留学生寮で生活しました。コインランドリーやコンビニが徒歩圏内にあるため、便利な立地でした。飲料水も、寮や大学構内に汲める場所があったため、困りませんでした。交通手段は、寮の前にあるバス停から、大学内の無料バスを使う、寮のレンタル自転車に乗る、バイタクを使う、BTS(電車)を利用する、知人の車やバイクに乗せてもらう等があり、シチュエーションごとに使い分けていました。衣類は800円もあれば、良いものが手に入れられます。暑い国なので、熱中症や食中毒には注意し、体調管理は徹底することをお勧めします。また、交通事故にあわない様、信号が青でも注意深く渡ってください。私は、ちょうど乾季のシーズンに滞在したため、毎日晴れていました。雨期に行く方は、スコールが凄まじく、冠水するらしいので気をつけてください。

「何を勉強しましたか?」
【授業】
  カセサート大学では、私は修士1年として、水産学部に所属していました。漁業や、養殖の持続可能な方法、海洋保護区利用についての大学院の授業をうけました。授業は2人~6人ほどの少人数で、積極的に意見を求められる場面やプレゼンする機会が多く、主体的に学ぶことができます。また、学部のスクーバダイビングの授業にも参加しました。個性的で親切な先生方やKUの学生たちのおかげで、楽しく毎日過ごせました。

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写真2) 左はスクーバクラスのプール内の様子。 右はKU水産学部の様子。

【研究】
  研究室の活動は、コアタイムは無く、授業の合間の時間に先行研究の論文を読んだり、やりたいことを自主的に勉強しました。また、指導教員の先生と研究計画を立て、フィールドトリップに出かけ、ダイビングをしてデータを取り、結果・考察を帰国前に英語でスライド発表会をしました。自分にとって初めてのサンゴ礁保全という分野を0から学び、短期間で調べ、挑戦して結果を出すという貴重な経験ができて良かったです。

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写真3) 研究で行ったサンゴ礁調査ダイビング。

「今、留学することに興味がある、あるいは迷っている方へメッセージ」
 人生のうち、学生でいられる時間は一瞬であり、少しでも海外留学に挑戦したいと思う方は、行くことをお勧めします。やってみないと何事もわからないという点と、後から後悔するのは悔しいと思うからです。自分も、留学前は就活の準備期と重なることや、海洋大での研究やクラゲ飼育がその期間中できなくなること、長期間海外で生活すること等、たくさん不安なことや乗り越えなければいけない壁がありました。それでも、諦めず、周りの人に助けてもらいながらIJP初の海洋大からKUへの留学を成功させることができました。友人や家族、協力してくれる方への感謝と敬意、「留学してみたい」という想いを忘れずに、一歩踏み出してみてください。新しい景色が見えるはずです。
 また、英語が苦手だけど留学したいという方は、個人的にタイがおすすめです。タイの国民性は穏やかで、人懐っこく、話を聞いてくれる方が多い為、自分が英語を話せる機会が、英語圏よりも、むしろあるのではないかと3か国の留学を通して発見しました。ネイティブの発音を学びたい訳ではなく、英会話が主体的にできるようになりたいという方は是非タイへ行ってみてください。
 タイには、「マイペンライ」という言葉があります。意味は、「なんとかなるさ、大丈夫」です。失敗しても、面倒なことがあっても、学生のうちに自分が成長できる良いチャンスだと思って、「マイペンライ精神」で挑んでみてください!

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