REPORT留学生リポート

国際協働教育プログラム(IJP)

OQEANOUS Plus-IJP 体験記(韓国海洋大学校 R4.2-R4.6)

2022.10.04

海洋科学技術研究科海洋資源環境学専攻 修士1年 M. K.

  私は、20222月3日~622日の約5か月間韓国海洋大学校(KMOU)に滞在しました。本稿が、留学したいと思っている学生、迷っている学生、OQEANOUS Plusプログラムに興味がある学生をはじめ、多くの海洋大生の参考になれば幸いです。

 【留学の動機】

 研究室の教授からOQEANOUS Plus IJPプログラムの秋季募集についてお話を伺い、「いつか留学してみたい」とかねてより考えていたことから、出願しました。また、研究室にKMOUの卒業生かつOQEANOUS Plus IJPで東京海洋大学に来ていた先輩がいらっしゃり、KMOUについて多くの情報を頂けたのも助けとなりました。

一方で、出願前には下記のような不安がありました。

・留学期間が学部卒業と大学院入学の時期をまたぐ期間だったため、2月の卒論提出・発表や4月の大学院入学手続きなどと韓国の生活を両立できるかという不安。

・人生初の一週間を超える海外滞在であり、韓国にも渡航歴はなかったため、5ヶ月間うまくやっていけるだろうかという不安。

しかし、教授の「両立できないのではと不安がるのではなく、『両立させる』んだよ」、「5ヶ月なんてあっという間だよ」という言葉に背中を押されました。今まで何かと不安要素を考えては挑戦を先送りにし、機会を失うことが多く(例:教職課程の集中講義を考えて海外探検隊の出願を3年次にしようとしていたら、コロナ禍で3年次の派遣がなくなった)、ここで挑戦しないと「いつか留学してみたい」がいつまでも「いつか」になってしまうと思い、出願を決意しました。

 OQEANOUS Plusプログラムの体験談】

  1. 先生方のサポート

 KMOUTUMSATのOQEANOUS事務担当方がサポートしてくださり、韓国渡航後の隔離やワクチン接種、履修登録、外国人登録、銀行口座開設、健康保険料振り込み、SIMカード契約などスムーズに行うことができました。また、KakaoTalkという韓国で主流のLINEのようなSNSKMOUTUMSATのOQEANOUS事務担当の方と連絡を取ることができ、小さな疑問点や不安点にもすぐに返事をいただける体制が心強かったです。

 

  1. 衣食住のサポート

 学生寮に無料で入ることができ、また1セメスター分の食費を先に支払うことで1日3食寮の食堂を利用できた点が、住まいと食事の面で安心でした。また、寮では温水シャワーを24時間使用でき、洗濯機も一回約50円で使用することができて助かりました。さらに、寮の部屋にもWi-fiが飛んでいるため、オンライン授業やオンラインミーティングに寮から参加することもできました。

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写真1)美味しかった寮の食堂の辛いちゃんぽん麺と韓国風酢豚

 

  1. 研究室所属のサポート

研究室活動のない学部の留学と異なり、研究室に所属できるという点も非常に大きなサポートだと感じます。現地の大学の教授に指導していただけて研究ができる点はもちろんですが、授業のない時間にも自分の席がある(自分の居場所がある)という点が、精神的に大きな支えになりました。

 

  1. 韓国文化体験や研究活動のサポート

 韓国滞在中に他の留学生と一緒に韓国の伝統衣装や遊びを体験させていただきました。また、海洋系の韓国の国内学会で卒業研究の内容を発表する機会をいただき、済州島への渡航費やホテル宿泊費、学会参加費をサポートしていただきました。学会はKMOUで所属した研究室全員で参加し、移動や学会終了後の観光を含めて大切な思い出になりました。

 

【韓国での学生生活の体験談】

  1. 韓国海洋大学校(KMOU)の雰囲気

KMOUの魅力の一つは住みやすさです。KMOUは島が一つのキャンパスになっており、キャンパス内には寮の食堂の他に学食、ハンバーガー店、カフェ、郵便局、銀行、コンビニ、書店、眼鏡屋、理髪店、トレーニングジムなどがありました。市街地に繋がるバス停も学内にあり、徒歩圏内には様々な韓国料理店、スーパー、カラオケ、ダイソーがあるなど、非常に住みやすかったです。さらに、学内からバスで40分ほどの場所に南浦洞(ナンポドン)という釜山を代表する観光スポットがあり、ショッピングモールや様々な種類の商品が並ぶ市場、映画館などが集まっています。UNIQLOなど日本人になじみ深い店舗もあり、足りないものはほぼこちらで手に入りました。

また、綺麗な景色も魅力的でした。KMOUからは釜山港を望むことができ、日中は大きな船の往来を、夜はきれいな夜景を楽しみました。さらに、キャンパスの一部がジオパークになっており、地層や海岸などの自然を楽しむことができました。

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写真2)キャンパス内にある海岸の眺め

 

学生の雰囲気も真面目な学生が多く、夜も図書館や自習スペースで勉強している姿をよく見かけました。また、活発なグループディスカッションが各所で行われていました。一方で、日本の学生に比べてカラオケが大好きな学生やお酒に強い学生が多いと感じました。寮生活・島生活でも単調な生活にならず、オンオフを非常にうまく切り替えて、楽しむときは心から楽しんでいる印象でした。テスト週間には夜食のハンバーガーやチキンを大学が配ってくださり、みんなで勉強する楽しみもありました。

 

  1. 研究室生活

私が所属したMultiphase Flow Labは、教授1名、韓国の学生4名と、TUMSATからきたMさんと私の計7名でした。私にとって研究室の学生と過ごした日々が韓国滞在の一番の思い出であり、Multiphase Flow Labの一員になれたことが本当に幸せでした。

Labの学生は学内の寮に住んでいるかキャンパスの近くで一人暮らしをしていたので、みんなでご飯を食べたり、夜遅くまで研究したりと、本当に多くの時間を一緒に過ごしました。また、Labの学生が毎週韓国料理店や繁華街、観光地に連れて行ってくれ、韓国について様々なことを教えてくれたので、心の底から滞在を楽しむことができました。

日常の些細な会話の中にも発見があり、夜遅くまで笑い合いながら文化を越えた交流を楽しめたことも、現地の学生の生活に入り込ませていただけたからこそだと感じます。留学生向けに開講された授業をとり、留学生同士で交流を深めるタイプの留学にも良さがありますが、OQEANOUSでぜひとも現地の学生との日常を体感していただきたいです。

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写真3)お店も屋台も充実している南浦洞

 

  1. 挑戦したこと

 KMOUでの5か月の滞在を通じ、小さいながらも色々なことに挑戦してみました。学業と休日に分けて、例を紹介したいと思います。

<学業面>

私はTUMSATでは海洋地盤工学研究室に所属していますが、韓国では今まで学んだことのないFLNG(浮体式液化天然ガス生産設備)の設計やパイプ輸送などを研究対象としている研究室に所属し、FLNGの各設備を設計する授業を履修しました。石油・天然ガスプラントについて詳しく学ぶのは初めてであり、難しい内容もありましたが、研究室の学生に助けてもらいながら楽しく学ぶことができました。プラントの各設備の役割やエンジニアの仕事内容を垣間見た経験は、今後海洋資源開発を学ぶ上で役立つと感じます。留学先では、専門分野とは異なる授業に挑戦し、視野を広げるのもおすすめです。

<休日>

 KMOUの教授が参加者を募ってくださり、他の留学生や釜山在住の外国人からなるインターナショナルグループで釜山の4つの山に登りました。私にとってはハイキングとインターナショナルグループ参加という2つの挑戦でしたが、マレーシアやスペイン、ジョージア、アメリカ、フィリピンなど様々な国の方と交流を深めながら釜山の景色や寺院見学を楽しむことができました。他国の留学生たちとは学食で一緒に食べる、芸術祭に行くなどその後も交流の場面があり、最初のハイキングに思い切って参加し輪を広げることができてよかったと感じました。言語面ではテンポの良い英語での会話についていくのに精一杯でしたが、みんなの表現から学ぶことができ、とにかくなんとか話す力は身につけられたのでは、と感じます。コンフォートゾーンから一歩踏み出したことで、たくさんの刺激を受けることができました。

 

【さいごに】

 留学を経て、何事も思い切って挑戦してみようという気持ちが身に付きました。そして、帰国後も「元気?」と気軽にメッセージをくれる素敵な先輩、友人に出会えたことが私にとって何よりの財産です。将来共に海洋に関連する分野で活躍し、ソジュを飲みながら一緒に語り合える日が楽しみです。

最後に、留学を応援してくださり、韓国渡航後も卒論やその他の研究活動について丁寧に指導してくださった研究室の先生方、渡航前から手厚くサポートしていただいた海洋大・韓国海洋大の留学支援係の方々、本当にありがとうございました。そして、私たちを温かく迎えてくださり、韓国滞在を人生でかけがえのない日々にしてくださったMultiphase Flow Labの先生と学生の皆様に、心より感謝申し上げます。

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