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JAMSTECインターンシップ終了報告
(海運ロジスティクス専攻 越乢)

2021.12.16

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私は、91日から101日までの1ヶ月間、国立研究開発法人海洋開発機構付加価値情報創生部門情報エンジニアリングプログラムのインターンシップに週3回参加しました。

今回私が参加したプロジェクトは、AIを活用した海ごみの自動検出です。今まで物体検知について学んで来なかったため、私自身初めての試みでしたが、このインターンシップにおいて私に課せられた仕事は2つありました。



           横浜研究所

1つ目は、ゴミを撮影した画像に対するアノテーションの難易度分類および考察です。アノテーションというのは、とても地道な作業であると共に神経を使う必要があるため、外注が必要になります。しかし、取得した全ての画像を外注するとなると、画像によってはゴミが全く写っていないため、コストの無駄になってしまったり、画像が荒すぎたりゴミの数が極端に多かったりしてしまうとアノテーションした画像を学習する際に、モデルの精度に影響を及ぼしかねません。そのため、自分たちのモデル作成という目的に沿ったアノテーション画像を手に入れるためにも、重要な仕事でした。手順としては、まず人工ゴミだけをグレースケールにおいてラベル付けした画像を頂き、0が入力されている背景以外をカウントすることにより、ゴミの数および画像内のゴミが占めるピクセル数を取得しました。次に、取得したゴミの数、ピクセル数をそれぞれ3段階に分け、全9種類にパターン分けをしましたが、この仕事が片付いた後に頂いたフィードバックの中で、これらの画像は、それぞれ大きさが違うということが判明しピクセル数のカウントが意味をなしていない事がわかりました。そのため、ピクセル数をカウントするのではなく画像サイズを加味し、画像内においてゴミが占める割合を求めることにして、この仕事を終わりとしました。

2つ目は、実際にゴミの画像を用いてゴミの検知を行うモデルの作成です。まずこの仕事に取り掛かるために物体検知モデルの選定を行いました。現在、多く知られている物体検知モデルは、Faster R-CNNSSDYOLO3つがあります。Faster R-CNNは小さい物体の検知に優れており、SSDは計算速度が優れています。一方YOLOFaster R-CNNよりも早いうえ、背景の誤検出も少なくリアルタイムでの検知も標準化されているため、今後、リアルタイムでの検出が可能となるように、今回はYOLOを選択しバージョンは最新のYOLOv5を使用しました。ゴミの画像のアノテーションはVOTTというマイクロソフトが提供しているアノテーションツールを用いて行いました。VOTTを選択した理由は、他のアノテーションツールと比較した際に個人的に使いやすかったからです。

koshidawa2.jpg200枚ほどのアノテーション画像を作成し、RoboflowというサイトでYOLOv5で学習できるようにファイルのフォーマットを変更するとともに、データの水増しや、画像のリサイズなどを行いました。これらの学習データを用いてYOLOv5に学習させた結果、5時間ほどでモデルが完成しました。実際に作成したモデルにゴミの画像を与えたところ、大体のゴミは検知出来ていたがゴミが重なっているところや、ロープのような長くうねっているものは検知出来ませんでした。これらの問題に関しては今後改善を検討していこうと思います。以上がこのインターンシップで学び、実践したことです。
          作業風景

このインターンシップを通して、このご時世で出勤されている方は少なかったですが、実際の現場の雰囲気や、結果が求められるという緊張感を経験する貴重な機会となりました。現在は臨時研究補助員として採用していただいており、引き続きプロジェクトに参加しています。

最後になりますが、今回このような素晴らしい機会を与えてくださった関係者の皆様に感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。

海運ロジスティクス専攻1年 越乢