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前期課程 研究室間インターシップ開講一覧
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MSU食品系学科のインターンシップへの取り組み-廣野

実施について
学生、大学および企業の3者の合意の元に研修が実施される。まず、学生が研修で行い事項を企業に提出する。企業は出来ることできないことを返事する。最終的に研修内容を大学の担当者が確認し、問題なければインターンシップの研修が行われる。

<学部生のケース>学部生は夏休みの3ヶ月間を利用し、インターンシップを実施している。学部生のインターンシップは単位(3単位)となる。評価法は、インターンシップ担当教員がインターンシップを行っている学生を訪問しインタビューを実施する。さらに、学生は終了後にレポートを提出し評価される。

<大学院生のケース>大学院では単位として認めていない。学生が必要であると考えれば、6ヶ月から1年程度、インターンシップに出る。当然、学位取得には時間がかかる。米国の博士課程は5年程度を費やすケースが多い。また、インターンシップに出た博士後期課程の学生も当然、博士論文研究は行い、研究が評価され学位を得る。

インターンシップのベネフィット
<学生の立場として>社会経験が出来る。社会に出た後に、インターンシップを行った会社に就職しなくとも人的なコネクションが出来ることから、多くの学生はそれを有利と考えている。

<会社の立場として>会社はインターンシップに来る学生を労働者とみて、賃金を支払うシステムがある。インターンシップに来た学生の人物評価が出来るので、青田買いに繋がる。すなわち、失敗しない採用に繋がる。最低3ヶ月は仕事を手伝ってくれるので労働者として役に立つ。また、正規職員より低賃金で仕事をしてくれるので、経済的にも会社にメリットがある。

インターンシップ先の企業をどのように探すのか
十数年前はミシガン州立大学ではインターンシップが盛んではなく、受け入れ企業を見付けるのが大変であった。その頃は、教授が企業にお願いして学生を受け入れていただいていた。しかし、最近は企業も上述のような理由により学生を受け入れてくれるようになった。また、学生が主体的に組織する勉強会のようなものがあり、そこに、毎月卒業生を招待し、講演をしてもらう。このような学生主体の活動により卒業生との強いパイプを継続している。

視察を終えての提案

以下は、大学院教務委員として博士後期課程の合同セミナーに企業型プロジェクトを盛り込むことを検討するように依頼を受けたことから、「大学院教育改革支援プログラム」の申請書の資料を参考に作成したものである。

<合同セミナー(企業型プロジェクト)案の例>
目標と内容及び計画
本セミナーでは、学生が短期(6ヶ月程度)達成型研究プロジェクトのマネージメント能力を高めることを目的とする。内容としては、博士論文研究に関連する産業分野において既に存在する特定の研究成果(成果物)あるいは研究を実施することにより得られる可能性がある研究成果(成果物)を利用して企業化するための企画・立案を行い発表する。企画・立案について評価を受けた後に、企業化に向けて必要な実験等をオープンラボあるいは自身が所属する研究室にて、限られた期間内に実施する。実施期間については評価委員会で決定する。企業化に向けて実施した事柄について、発表するとともに、全過程における問題点の抽出も行う。

成績評価の方法
評価は2段階で実施する。まず、企画・立案の時点で幅広い専門分野(企業関連の有識者を含む)より構成される指導教員グループにより評価する。次いで、企業化に向けて実施した事柄および問題点の抽出等について同様に評価し、最終的は全過程における企画・立案・実行・評価力について総合的には成績評価を行う。

幅広い専門分野より構成される指導教員グループ
構成員は5名とする。5名の中には主指導教員以外に前期課程で異なる専攻の教員を2名以上入れることとする。また、可能な限り、関連企業の有識者を構成員に加えること。

検討必要事項
*博士の学位審査基準は従来どおりとするのか、新たな基準を設けるのか。

インターンシップにどれだけの期間を設定するのか? 3週間程度なら、企業に対して迷惑であろうし、学生に取ってもただの訪問者に終わってしまうのではないか?しかし、長期で6ヶ月(3ヶ月×2回)と企業型プロジェクトに3ヶ月と考えると、これらで1年近くになる。学位審査の開始時期が11月からと早まっていることからもし、従来の基準と同じとするなら、学生が博士論文のために実験できる時間はトータルで1年半程度ではないか。これでは、従来の基準での博士学位論文は無理であると思われる。新たな基準を設けるのか、それとも従来どおりの基準で学位審査をするのかについて、専攻内で検討する必要がある。すなわち、どこまで本気でインターンシップを取り入れるかによるのではないかと考えられる。

私の考えとしては5年一貫の大学院を設置し、その中でインターンシップも単位として取得可能にするのが良いのでは。

  
プレゼンテーションを行う廣野先生