REPORT留学生リポート

国際協働教育プログラム(IJP)

IJP 体験記(マラヤ大学 R7.2 - R7.8)

2025.09.30

洋科学技術研究科 海洋資源環境学専攻  修士1年 A.K.

 私はマレーシアのマラヤ大学に留学し、メインキャンパスではなく約500km離れたクランタン州バチョのリサーチステーションに滞在しました。本稿がOQEANOUS Plusプログラムを目指す方の参考になれば幸いです。

【動機】

 2024年4月頃、研究室の教授からマラヤ大学の教授のもとで留学するプログラムを提案していただきました。初めての海外長期滞在であることに加え、滞在先が首都から500km以上離れた田舎という点に強い不安を感じていました。しかし、大学入学時から憧れていた「海外留学」という夢と、新しい世界へ飛び込むワクワク感に背中を押され、マラヤ大学への留学を決意しました。幸い、留学を決めてから実際の出発まで約1年の準備期間があったため、ビザ申請や書類準備なども落ち着いて進めることができました。

【メインキャンパスにて】

 2025年2月末に渡航し、約2週間は留学生向けのオリエンテーションやビザ申請、健康診断のためにクアラルンプールに滞在しました。マラヤ大学では留学生向けにオリエンテーションがあり、伝統舞踊のワークショップ、キャンパスツアーなどの活動を通じて、世界各国から集まった留学生と交流を深められる貴重な時間になりました。今後マラヤ大学に留学予定の方は、ぜひ参加されることをおすすめします。

【リサーチステーションにて】

 研究内容と授業について

入国してビザ申請が済んだ後、長距離バスで約9時間かけて北東部のバチョに移動しました。

ステーションでは、主にPhDの先輩の研究補助や、PCRを用いた研究手法の習得を行い、月に2〜3回はサンプリングに同行し、採取方法やサンプル処理手順を学びました。東京海洋大学でも似たプロトコルで作業を行っていましたが、器具や手順が少し異なる点が非常に興味深かったです。授業はすべてオンラインで履修し、1つは修士課程の必修科目、もう1つは環境保全政策に関する授業でした。履修学生が私しかおらず、先生とマンツーマンで直接ディスカッションしながら深く学べる時間は非常に貴重でした。この授業の履修には、本学とマラヤ大学のコーディネーターの方々の多大な協力をいただきました。

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写真1. エビの養殖場でサンプリング中の様子

【普段の生活】

滞在していたクランタン州では、金曜日と土曜日が週末でした。

平日は朝10時頃から研究を開始し、先輩の補助や課題に取り組み、夕方17時頃に終了。昼食は自炊、デリバリー、外食のいずれかでした。

休日は課題や趣味の絵を描く時間にあてたり、近くのビーチを散歩したりしました。徒歩15分ほどの場所には週末限定の屋台があり、先輩と一緒にマンゴージュースを飲むのが楽しみの一つでした。ただし、クランタン州では断水が頻発し、キッチンや洗濯機が使えない日もありました。こうした日本とのギャップも含めて、良い経験となりました。

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【写真2】屋台で買えるマンゴージュース  【写真3】みんなで自炊するお昼ご飯

【文化・宗教の違い】

 クランタン州はムスリム人口が95%以上で、ステーションの生徒も全員ムスリムでした。お祈りの時間や食事制限など、日常の中で文化や宗教の違いを強く感じました。

 特に滞在初期は、ちょうどラマダン(断食)期間と重なり、日中に食事ができず生活リズムを合わせるのに苦労しましたが、彼らの信仰心や文化を間近で感じることができたのは非常に貴重でした。

【留学のアドバイス】

 初めて自分がマイノリティとなる環境で生活をし、文化・宗教・生活習慣の違いを肌で感じました。最初は戸惑うこともありましたが、相手の文化を尊重し、自分から歩み寄る姿勢が大切だと学びました。また、留学準備は早めに進めること、現地での生活や研究環境について事前にできる限り情報を集めておくことを強くおすすめします。特に地方滞在の場合、都市部と異なる生活条件(水やネット環境、食事事情など)を理解しておくことで、不安を減らせます。

 この留学は、研究面だけでなく、自分の価値観や世界観を広げる大きなきっかけになりました。これから留学を考えている皆さんには、勇気を持って一歩を踏み出してほしいと思います。

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