REPORT留学生リポート

ショートタームプログラム(STP)

STP体験記(上海海洋大学 R6.7-8)

2025.03.06

大学院 海洋システム工学専攻 修士2年 A.H.

STP応募の理由

私は大学院において工学的視点から持続可能な社会の構築に資する研究に従事しており、特に再生可能エネルギーや環境工学といった分野に関心を抱いてきた。その中で、海洋という広大な資源空間における持続可能性の在り方について、学際的かつ国際的な観点から学びを深めたいと考え、本プログラムへの応募を決意した。また、英語による専門講義や異文化交流を通じて、国際的な課題に対する自分の視座を見直す機会になると期待した。

オンライン講義

「持続可能な開発のための海洋及び海洋資源の利用(Use of the oceans and marine resources for sustainable development)」を主題とした7日間のオンライン講義では、コンソーシアム参加各大学の教員より、海洋に関する多様な学問領域、すなわち、食品栄養学、海洋・大気環境、漁業資源管理、水産養殖、海洋資源開発等について英語で講義が行われた。分野を横断した視点から、海洋を巡る課題と可能性について包括的に理解することができ、特に漁業資源の持続的利用や、海洋環境汚染に対する国際的な技術的対応策については、自身の専門とは異なるが、強い関心を抱いた。

上海海洋大学での対面プログラム(フィールドトリップ)

写真2.jpg現地プログラムでは、上海海洋大学の食品科学系および海洋科学系の教員による講義に加え、各研究室の見学や簡易な実験の体験を通じて、学術的関心をより深めることができた。また、上海に位置する浄水処理施設や、光明乳業に代表される食品加工工場の見学により、中国の都市インフラや食品産業における衛生管理・設備投資の現状を直に観察する機会を得た。加えて、博物館訪問や植物園でのザリガニ釣り、果樹園における桃狩り、伝統文化体験(中国結びや気功)、さらには上海市内の歴史的・近代的スポットの見学を通じて、上海という都市の多層的な文化と発展を実感することができた。

他大学からの学生との交流

本プログラムには、日本・中国のみならず、韓国、タイ、マレーシアからの学生も参加しており、各国の大学生・大学院生と英語を共通言語として協働する経験は、自身の国際感覚を大いに刺激するものであった。特に、最終日の英語によるグループプレゼンテーションでは、同じ講義やフィールド活動を受けていても、各国・各人の関心の違いによって多様な発表内容が展開され、学際性と国際性の交差点としての本プログラムの意義を強く感じた。

参加した後で意識が変わったこと

写真1.jpg本プログラムを通じて、短期留学や異文化交流に対する捉え方に大きな変化が生じた。これまで私は、留学を主に語学力向上や専門的知識の深化の手段として認識していたが、今回のように現地の社会や人々の価値観に直接触れることで、固定観念や偏見を相対化し、自身の視野を広げるという側面の重要性を実感した。
また、特筆すべきは、報道や一般的なイメージとして流通する中国の姿と、実際に自らが現地で目にし、触れた中国社会との間にある大きな乖離である。現地で出会った学生や教員の真摯な姿勢、産業・都市インフラの整備状況、文化の豊かさなどを直接体験する中で、「自分の目で見て、自ら判断する」ことの重要性を再認識した。今後もこの経験を糧に、専門分野における国際的課題の解決に貢献できるよう研鑽を積んでいきたい。

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