REPORT留学生リポート

国際協働教育プログラム(IJP)

OQEANOUS Plus-IJP 体験記(韓国海洋大学校 R3.9-R4.2)

2022.04.28

 海洋科学技術研究科海洋生命資源科学専攻 修士2年 A. K.です。20219月から20222月まで5ヶ月間、OQEANOUS IJPプログラムで韓国海洋大学校に留学しました。新型コロナウイルスにより海外渡航が制限される中でしたので、通常の留学とは状況も心持ちも大きく異なる経験であったと思います。あまり例のない留学体験談として読まれている方の参考になれば幸いです。

・留学の動機

 2020年度は、新型コロナウイルスの世界的蔓延により、多くの人の生活が一変したのではないでしょうか。私も同様に、学部4年に進級後、研究室に配属されてすぐ自粛が求められる状況になり、手を動かして本格的に研究を始めたのは、それから約半年後の秋であったと記憶しています。半年足らずで卒業研究をどうにか終えて学部を卒業し、決まっていた大学院進学を目前に控えた春になってもコロナウイルスは収束しておらず、期限のある2年という最後の学生生活に対し不安を感じていました。それは、"再び感染が拡大し、家に篭もるだけになってしまうのではないか"、コロナが始まって既に1年以上経過し、"何かが出来ない理由を、もうコロナのせいにするのは許されないのではないか"という思いでした。そこで、テレビで流れる各国のコロナ対応の違いに目がつきました。国によって、マスク着用や飲食の状況は大きく異なり、もちろんそれに伴い感染者数も大きく違っていましたが、日本を出れば勉強が出来ると単純に考え、留学を決意しました。1年後には就職活動を始めなければならなかったため、なるべく早く出発する必要があり、プログラムとして既に確立されているOQEANOUS IJPプログラムを選択しました。また、多額の費用を短期間で用意することは難しいという面からも、奨学金を得られることは選択の理由として大きかったです。

・授業・研究

 授業は、①分子内分泌学特別研究(분자내분비학특수연구)と②水産生物内分泌学特論(수산생물내분비학특론)の二つを選択しました。IJPプログラムでは6単位の修得が要件ですが、韓国海洋大学校の授業は一授業3単位なので、最低二つ以上の選択となります。

 ①の授業は、学部生向けでしたが、所属する研究室の教授の授業ということもあり、特別に受けさせていただきました。座学が動画配信型だったため、一時停止して翻訳しながら時間をかけて学習できたことは運が良かったと思います。実験はもちろん韓国語で進行しますが、事前にレジュメをもらって全て翻訳し、知らない部分を教科書やインターネットで調べてから授業へ参加することで、どうにかついていくことが出来ました。また、大まかな手順は既に習ったものの応用であったり、専門用語や試薬は英語であったりするため、皆さんが心配されている以上にどうにかなります。

 ②の授業は、所属研究室のゼミ発表で、論文を選びスライドを作成して発表する形式でした。私は、卒業研究を英語版にして発表するだけでしたが、参加者の韓国語の発表を聞いて理解することは難しかったです。

 韓国語が分からないため、シラバスから授業を選ぶことすら出来ず、所属予定の研究室の博士学生に相談し、調整してもらい上記二つの授業を決定しました。そのため、専門的な内容を学ぶことが出来ましたが、韓国語の授業は取るべきだったと思っています。

 月曜から土曜まで9-18時のコアタイムがある研究室でしたが、授業準備や留学中に他にやりたいこともあり、研究室に相談して週49-18時+必要に応じて登校するスケジュールに変更してもらいました。大学院生としての主な目的は研究ですが、OQEANOUSプログラムとしての最低条件は6単位の取得であるため、慣れない土地での心身の状態と相談して、無理が起こる前に自身のスケジュールを柔軟に変更できたことは、非常に重要なポイントであったと思います。プログラムとしての必要条件と、自由度のバランスが良く、留学生活を自身のペースで創りやすい制度だと感じました。

・韓国での生活

冬休み前までの4ヶ月ほどは授業と研究で一杯一杯でした。しかし、その間も放課後や休日は友人と出かけたり、冬休みからは授業がなくなった分余裕ができ、最後1ヶ月は私生活もとても楽しく過ごすことが出来ました。今回は特に印象的だった私生活での経験を2つ紹介します。

 一つは、韓国でTOEICに挑戦したことです。韓国では中学校が会場になることが多いのですが、敢えて少し離れた街の会場を予約し、釜山の観光地ではない場所を訪れることは、とてもワクワクしました。現地の中学校に正式に入ることのできる貴重な機会で、日本の学校との違いも新鮮で面白かったです。今後行かれる方は是非トライしてみてください。

 もう一つは、スキーキャンプへの参加です。日本同様、大学生向けのお得なスキー・スノーボードツアーがあり、友人と参加しました。釜山からバスで5時間ほど北にある江原道という地域まで行き、広大で美しいウィンタースポーツリゾート地で過ごした23日は、とても楽しく、忘れられない旅行になりました。

・総括

 この留学は、間違いなく人生一大きな挑戦で、それだけの価値を得た経験となりました。

 まず私は、海外渡航経験もなく、韓国語も一切分かりませんでした。その上コロナ禍で、何かあってもすぐに移動できないという状況でしたが、そんな不安要素を恐れず挑戦した勇気に意味があると感じています。コロナ禍でなくとも、皆さんがそれぞれ不安や課題を抱えていることと思います。そのような難しい状況下で、留学に挑戦したこと自体に価値があり、途中に何があろうと、結果として失敗に終わることはないと思います。是非、スリルを楽しんで一歩踏み出してみてください。

 そして何より、かけがえのない大切な人達に出会うことが出来ました。韓国では、大変だと感じる時間も多くありましたが、本当に優しく迎え入れてくれた韓国の友人や、同じ留学生として気持ちを分かち合う他国の友人との出会いは宝物になりました。次に会う時には、より相手を理解できるよう、韓国語習得という新しい人生の目標も生まれました。新たな出会いだけでなく、応援し支えてくれる日本の周りの存在にも改めて気づくことができ、とても多くの人に力をもらっていることを有難く感じました。

 最後となりますが、海外留学に少しでも興味がある方は、是非挑戦してみてください。そして、留学への課題を感じる方にこそ、授業や研究、金銭等のサポートがある本プログラムをお勧めします。0から、一人きりでのスタートではなく、本プログラムのこれまでの渡航情報や先輩の体験談を存分に活用し、さらに質の高い、楽しい留学を皆さんにはしていただきたいと思います。長い時間をかけて練った大層な計画がなくても全く問題はなく、この体験談が偶然目につき、思い立って挑戦するキッカケになれば嬉しいです。

안녕!

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 図1 学内のハンバーガーショップ。     

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  図2 友人とサムギョプサル                  図3 研究室で配達

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